時計好きに「あなたの時計、見せてください」という企画。メンズセレクトショップのオーナー瀬山 啓さんは、服装に合わせて時計を選ぶという。ベテランバイヤーでもある瀬山さんが選んだ時計とは?
インポートとヴィンテージが揃う
東急東横線の代官山駅を出て数十秒のところにある「BEAU GESTE(ボー・ジェスト)www.instagram.com/beau_geste_daikanyama」。イタリア製の服を中心としたインポート商品とヴィンテージ服の両方が揃う、メンズのセレクトショップである。
「代官山駅の北口からすぐなんですけど、この出口がわかりにくいのか、結構迷いましたというお客さんが多いですね」
苦笑しつつ、そう話してくれたオーナーの瀬山 啓さん。彼はセレクトショップでバイヤーとして、フィレンツェのピッティウォモには毎シーズン出向き、さらにミラノ、パリで買い付けをしていたベテランだ。約20年のキャリアを積み、2020年に独立。2020年5月に「BEAU GESTE」をオープンさせている。
「もうコロナの真っ最中でした。コロナが広まって緊急事態宣言で街も閉鎖したのが20年4月で、その時は店も作ってたんですが、待っていてもなかなかオープンできないなと思いまして。感染者が少なくなった連休明けにオープンしました。最初はアポイントメント制で、連絡が来た方、知り合いの方だけに対応していました。ちょうど2年半くらいですね、いま。なんとかかんとかやってます、という感じです」
右腕のゴールドウォッチ
そんな瀬山さんの右腕にあるのが、ヴァシュロン コンスタンタンの『パトリモニー』。ネイビーのジャケットにイエローゴールドケースの時計がフィットしている。
「3ヶ月ほど前に購入したものです。昔から気になっていて欲しいな、と思っていたんですが、ファイアーキッズのホームページを見ていたら、たまたま自分の生まれ年(1973年)のものがあったので、これは、と思って買わせていただきました」
ジャケットにあわせた『パトリモニー』は、正統派のドレスウォッチ。その前に購入した時計もジャガー・ルクルトの『レベルソ』なのだとか。それも現代ではドレスウォッチの部類に入る。瀬山さんはドレスウォッチがお好みなのだろうか?
「とくに意識しているわけではありません。私はやはり洋服が好きなので、それに合わせて時計を選んでいるからでしょうか。なので、どうしてもその時の服装の傾向が影響してるのではないかと思います」
瀬山さんが最初に高級時計を購入したのは1990年代、まだ20歳の頃で、購入した時計は新品のブライトリング『クロノマット』だった。その後、IWCの『マーク12』を手に入れている。その頃の服装はカジュアル中心だったとのことなので、やはり「腕時計は服装にあわせる」という言葉通りのチョイスである。
「ジャガー・ルクルトを購入したのがだいたい9年前。自分の服もヴィンテージの方が多くなってきた時期だったので、それに合わせる感じでしたね。その傾向はいまも続いていて、この『パトリモニー』に繋がったのだと思います。もちろん、生まれ年の時計というのもありましたけど」
先に述べたように、お店の商品も半分はヴィンテージだ。
「新品のインポートも扱ってますが、いまの流行りはヴィンテージ。ヴィンテージの方が売れているんです。タイミング的にもヴィンテージをはじめてよかったのかなと思っています」