現行モデルと大きく異なるデザイン
2022年、ロレックスの新作に『エアキング』がラインナップされた。有名どころが並ぶロレックスにあっては控えめな存在だが、その歴史においては重要なコレクションである。ただ、現行モデルとアンティークモデルの外装が大きく違っているため、現在の『エアキング』を頭に60年~70年代のモデルを見ると、同じコレクションとは思えないかもしれない。
『エアキング』は「航空業界へのオマージュ」というコンセプトで、航空産業が急速に発展した1946年に誕生している。その名はロレックスの中でもっとも古いペットネームとも言われている。
ベーシックなスタイルは日付表示のないシンプルな3針。針やインデックスもバーで、ケース径も近年まで30㎜台半ばの大きさをキープしていた。そして筆記体の“Air King”の文字が文字盤のほぼ中央に。アンティーク『エアキング』は万人がいいと思える腕時計で、ロレックスきってのロングセラーともなっている。
それを象徴するのが、50年代から40年近くのロングセラーとなったRef.5500である。いくつかのマイナーチェンジは行われたものの、先に述べたシンプルな構成は変わらず、ケース径も33㎜ながら、抜群の視認性を誇っている。
とはいえ、オイスターパーペチュアルシリーズという大きな括りのひとつなので、文字盤のデザインバリエーションが結構ある。インデックスだけでなく、カラーバリエーションもシルバー、ブラック、ブルーなど豊富なのだ。もちろん、基本的なデザインは変わらないのだが。
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日付表示なしのモデル
ちなみに“オイスターパーペチュアル”とは、ロレックスが生み出した堅牢な防水機能である“オイスターケース”と360度回転式ローターによる自動巻き機構“パーペチュアル”のこと。ロレックスウォッチのベースとなるもので、「デイト」「デイトジャスト」が名前に入っていないので、日付表示なしのモデルということになる。
ムーブメントはCal.1530で、後に後継機Cal.1520へと継承していく。まだこの頃はクロノメーターではないが、文字盤にPRECISION(正確な)という文字が表記されているように、精度的にも自信をもったキャリバーだった。
この『エアキング』Ref.5500は、アンティーク市場でとても人気の高いモデルだが、価格は安定しており、概ね40万円台で購入できる。高額モデルが多いロレックスの中では比較的安価なので、ファーストアンティークには最適な1本と言えるだろう。
90年になると、ロングセラーだった『エアキング』Ref.5500がリニューアル。ケースサイズを33㎜から34㎜へとアップさせ、風防をサファイアクリスタルガラスへと変更している。ムーブメントはハイビート(8振動/秒)のCal.3000へと変更。より高精度化されている。
この後、もう一度モデルチェンジをするが、初代から続くシンプルな『エアキング』は2007年あたりまで。それ以降は、外装が大きく変化。ケースのフォルム、ブレスレットが一新され、インデックスにはアラビア数字が目立つようになっていった。
アンティーク『エアキング』はシンプルゆえに、一見、個性がないように感じるかもしれないが、見れば見るほど魅力的なモデルである。完成されたそのデザインは“シンプル・イズ・ベスト”の最たるもの、と言えるだろう。