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実はそこまで気にしなくていい? 時計の磁化

線

機械式腕時計が磁気に弱い、ということを知っている人も多いだろう。しかし、である。現代は磁気にあふれている。電話とハンドバッグの留め金くらいしか、周囲に磁石がなかった時代とはワケがちがう。スマホやパソコンは言うに及ばず、ちょっとしたケースやらカバーやら、磁石、電磁石の類は、我々の身の回りにあふれている。


果たして、腕時計は大丈夫なのか?



磁気の強弱


機械式腕時計は、小さな歯車とゼンマイで動くコンピュータ。金属パーツ同士の僅かな動きで時を計る。この小さな金属が、磁気を帯びると、自らが発生させる磁力によって正確な機械動作が阻害される。


現在の時計には、ISO(国際標準化機構)で、約20ガウスの耐磁性が義務付けられている。日本のJISでは約60ガウスの耐磁性能が求められる。20ガウスは1,600A/m(アンペア毎メートル)に相当し、一般的な磁石はこれより40倍程度強い。さらに、使用上、磁石と感じることはほとんどないであろうスマホのスピーカーなどでも、この基準より10倍は強力な磁力となる。のだけれど、これは密着時の話。こういった磁石からでも、5cm程度離せば、磁力はほぼ0。届かないのだ。


だから、医療の現場など、特殊な環境で使用しない限りは、あまり、磁石に敏感になる必要はない。また、現代の時計は、そもそも磁化しない素材で造られていたり、とりわけ磁化の影響が時計の機能に大きく響くヒゲゼンマイをシリコンで造る、といったことで、磁力に対抗している。


アンティーク時計でも、IWCの『インヂュニア』、ロレックスの『ミルガウス』など、1950年代には、磁化しにくいことを売りにした時計が登場している。


IWC 『インヂュニア』


伝統的には軟鉄とよばれる、磁束を吸収しやすく、磁界から出ると磁気が抜ける鉄を、ケースの全体や、パーツの一部に使うことで、磁力から内部の機械を守ってきた。アンティーク時計の耐磁性能は、ほぼ、この方式で実現している。


『インヂュニア』は裏蓋を開けるとさらに防磁シールドがある


それでも磁化することはある


しかし、うっかりスマホのそばに長い時間置いてしまった、とかいうこともないのに、そもそも、1600A/mという最低線より3倍は磁化に耐性があるはずのダイバーズウォッチが、オーバーホール時に点検してもらうとわずかに磁化している、などということはある。


自分で調べることもできて、専門の機器をもっていなくても、方位磁針を時計のそばにもっていくと、方位磁石がわずかにでも振れる、などというときは、磁化している証拠だ。


この程度の磁化は、もう、現代においてはしょうがない。よほど大きく方位磁針が振れない限りは、動作への影響はほとんどなく、気にする必要はない。ファイアーキッズでは、磁化は脱磁器で抜いてくれる。「あまり神経質にならないこと。それでアンティークウォッチの使用をためらってしまうのはもったいない」と、ファイアーキッズのベテランたちは言う。

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