知名度が高く、高いコストパフォーマンスが魅力のオメガ『シーマスター』

知名度が高く、高いコストパフォーマンスが魅力のオメガ『シーマスター』

完成度が高かったファーストモデル

 

 オメガにおいて、『スピードマスター』と並ぶ人気モデルが『シーマスター』である。その誕生は『スピードマスター』と同じ1957年。『シーマスター 300』として登場している。この時、200mの防水性能を持っていた。

 それは原型が第二次世界大戦中、英国軍に供給されていた軍用ダイバーズウォッチ『マリーン』であり、すでに裏蓋にねじ込み式が使用されていたことからもうかがえる。以前『スピードマスター』が『シーマスター 300』をベースに、モータースポーツ用に製作されたモデルだと書いたが、初期段階から『シーマスター 300』は、かなりの完成度だったようだ。

 

 

 発表から11年後の68年には、進化した『シーマスター 300』を着けたダイバーが、水深365mまで潜る、という記録を樹立しているほどだ。

 当初から防水性が高かった『シーマスター』は、実用性が高く、ヴィンテージでも日常で扱いやすい時計といえる。しかも、当時のデザインはクラシックテイスト。薄型に作られているのものが多いのも、ヴィンテージ好きにはたまらない魅力だ。それに『スピードマスター』のように、クロノグラフではないシンプルな構造のため、故障しずらいというのも大きな利点といえるだろう。

 

 

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コラボレーションも豊富

 

 70年以降、『シーマスター』は印象的なコラボレーションと共に、世界的名声を得ていく。

 まずは70年に英国のガルフ石油が行った深海油田調査、「ヤヌス計画」での『シーマスタープロフェッショナル600』、通称「プロプロフ」の使用である。600m防水を誇るこのモデルを複数のダイバーが装着し、深海250m14時間の過酷な作業を8日間おこなったのだ。それでも故障せず、高い防水性と耐久性を示したことで、ダイバーズウォッチとしての高いポジションを確立している。

 また、映画『グラン・ブルー』のモデルとなった伝説のフリーダイバー、ジャック・マイヨールとのコラボレーションも有名である。その関係は、すでに100mのフリーダイビングに成功していたマイヨールが、101mとその記録を更新した時に着けていたのが『シーマスター120』だったことにはじまる。81年のことだ。

 

 

 その後、95年から、彼が亡くなる2002年まで、毎年夏の頃にはジャック・マイヨールの限定モデルが発表されている。例外もあるがその特徴は、『シーマスター120』ベースであること。海を表現するブルー、もしくはグリーンで、イルカをモチーフにした文字盤を採用している。ケースに“JACQUES MAYOL”の名が刻印されている、といったところである。

 ジャック・マイヨール限定ではないが、彼の要望のもとに開発された『シーマスター アプネアマイヨール』という、潜水時間が一目でわかるモデルもある。

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知名度を飛躍的に上げた007

 

 そして、なんといっても『シーマスター』の歴史を語る上で欠かせないのが、映画『007』シリーズでのジェームズ・ボンドの着用である。95年の『007 ゴールデンアイ』でピアーズ・ブロスナンが着用して以降、現行のダニエル・クレイグまでのすべての作品で、ボンドの腕には『シーマスター』が巻かれている。

 使用モデルは限定されてなく『ダイバー300』『アクアテラ』『プラネットオーシャン』など、作品の要望に応えて、その特別モデルを提供している。

 ボンドウォッチが『シーマスター』に切り替わったのは、当時オメガのブランドマーケティングの責任を担っていたジャン-クロード・ビバーの戦略ともいわれている。ビバーは、80年代にブランパンを復活させ、後にウブロを大躍進させたカリスマで、時計界で知らぬ人はいない人物でもある。

 もちろん、ジェームズ・ボンドが英国海軍出身であること、MI6のエージェントであること、スタイリッシュであることを鑑みても、『シーマスター』の性能、デザインは、抜群の相性であることに違いない。そして、この出会いが『シーマスター』の世界観、知名度をさらに広げることになった。

 オメガの利点は、コストパフォーマンスの良さだともいわれているが、ヴィンテージ市場でも、それは同様である。とくに『シーマスター』は、高騰しているモデルもあるが、概ね10万~20万円台が相場のようだ。

 このモデルは、先にも述べたように強く、バリエーションも豊富。知名度も高いので、初めてのヴィンテージウォッチには最適なモデルといえるだろう。

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