どシンプルな手巻きインター
今回、自分が紹介したいモデルはIWCの手巻きで、1973年製のものです。
単純にラウンドケースに細いラグが溶接されてるタイプです。IWC自体、シンプルな時計が多いのですが、このタイプは意外とありそうでない個体です。どシンプルな時計といってもいいですね。
ロゴも「IWC」の頭文字と「International Watch & Co.」の筆記体とが、12時位置に併記されたタイプで、オールドインターと呼ばれるもののひとつです。
このモデルは、とくにケースのつくりがいいです。70年代のものなので、60年代のものと比べると、とくにその良さがわかります。デザインは、ほぼ同じなんですけど。
リューズにはお魚マークがついており、一応、防水ケースです。が、70年代のものですし、裏蓋がスナップバックなので、気をつけて使ってもらうことになると思います。それは、主に使用する環境などです。とくに季節的な部分が大きいです。たとえば、汗をかきやすい人は夏の使用を避けた方がいい。少し気を使うだけで曇ったりせずに、普通に日常使いができる腕時計といえます。
そのように、多少は気を使う時計ですが、正しく使用すれば、長く使うことができます。この個体のように。この時計は、すべてオリジナルですが、針も文字盤もかなりキレイな状態です。この年代のものになると、文字盤が焼けていたり、針に腐食があったりすることも多々あるのですが、この個体は正しく使用した、最たる例といえるでしょう。
ペラトン設計の名機を搭載
搭載のムーブメントは、Cal.89。IWCのムーブメントの中でも名機と呼び声の高い手巻きムーブメントを搭載しています。Cal.89は、名機と呼ばれるだけあって、1946年から70年代まで、長い期間製造されています。設計は、アルバート・ペラトン。IWCのペラトン式自動巻きを開発した人物です。
モデル名はとくにありません。この時代のIWCは、ないものが多いです。大体、89のようなキャリバー名やケースの形状、この場合だとラウンド、とかで表記することが多いです。もちろん、IWCには『インヂュニア』や『ヨットクラブ』といった名前がついたものもありますが。
ケースサイズは35ミリです。サイズ的には、小さすぎず、大きすぎない。この辺りのサイズは、オールマイティに人気が高いですし、日本人が一番扱いやすいサイズだと思います。実際につけてもいい感じですし。
こういったオールドインターと呼ばれるものは、オートマティックの方が圧倒的に数が多いのです。手巻きのインターといえば、やはりCal.89搭載モデル。ただ、文字盤などがオリジナルではないものが多いですし、リダンされているものも結構あります。
これだけ状態がいいオールドインターは、めったに出てこないと思います。