【スタッフ対談】野村一成(店長)×松浦祐二郎(新店舗プロジェクトリーダー)編 日本のアンティークウォッチはコンディションがよく、しかも安い!#3

【スタッフ対談】野村一成(店長)×松浦祐二郎(新店舗プロジェクトリーダー)編 日本のアンティークウォッチはコンディションがよく、しかも安い!#3

野村店長と新店舗プロジェクトリーダーを務める松浦さんという、アンティーク時計の経験も豊富な二人の対談、第3弾。今回は修理の話から仕入れの話について、現在の状況についての話となった。

 

修理ができないことはほぼない

 今回は、作りの面での話から入ってもらった。よく建築物などで聞かれる、昔はできたけど、今はできないというようなことはあるのだろうか。

野村:素材だとか塗料とか、そういったのは、当然あるんですが、基本的に使えなくなるってことはないんですよね。大概、代替え部品が出てきますし。なんとかなっちゃうんです。修理できないっていうことでは、カレンダー系モデルとか、そういうのは意外と厄介だったりというのはあるかもしれないですね。アンティークウォッチの場合は、価格が安いので、その金額を修理代が超えちゃいますよ、ということがどうしても出てきます。


ホイヤー『トリプルカレンダー ムーンフェイズ』1960年代製

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松浦:そこで直す人、直さない人っていう感じに分かれちゃいますよね。

野村:でもベルトが切れちゃいましたというは、昔だったらベルト交換という話でしたが、いまはレーザー溶接ができるようになりました。そういう時代の進化というのもあります。今後は3Dプリンターとか、元のパーツがあれば、意外と簡単に作れるようになったりするとか。現在は時計のパーツとか、細かいところまでは作れてないんですけど、将来的にはできるようになるんじゃないかなと思うんですよ。そうすると修理代金というのは、驚くほど安くなったりする可能性があります。レーザー溶接なんて、昔は一ヶ所何十万だったのが、1万とかでできるようになりましたから。

松浦:そういう意味ではメリットとかも出てきますよね。僕もびっくりしました。こういうのも直せるんだ、と。昔はガラクタになって捨ててたようなものが、そういう技術ができて、コストが下がって、普通にできるようになるなんて、スゴイなって思いますよね。

野村:いま、うちが提携している工房でもレーザーの設備があるので、いままであきれめてもらってた部分が直せるようになっているんです。

松浦:そういう意味では、アンティークウォッチというものの直し方も、昔に比べてよくなった部分が結構あるということでしょうね。

野村:3Dプリンターも、まだ時計のレベルまで小さいのはできないそうですけどね。でもすごい進化です。パーツを作るときの値段が、一昔前の常識ではなくなるという可能性がありますね。でもコピー品ができちゃうかもしれないです(笑)

松浦:またそこで「これはオリジナルなのか?」という話が出てきて、答えに困るという(笑)

野村:毎年、バーゼルで春先に発表になった時計が、海外の8月末とかの仕入れに行くと、もうしている人がいるんですよ。ちょうど店頭に並ぶ頃じゃないですか。でも、彼らがつけているのはフェイクなんですよね。フェイクの方が先に出回っちゃうという。恐ろしい世の中ですよね。

松浦:偽物もいま相当上手く作ってますから。大変ですよね。

 

アンティークウォッチ、日本の現状

 

 時計の新製品は本国が決めるので、ある程度世界統一みたいなことになってますが、アンティークは一度市場に出たものなので、国によって相場が違います。いまの日本の状況はどのような感じなのでしょうか

野村:いま欧米と日本の価格差はスゴイですね。いまは大概のものはアメリカ、欧州の方が高いですよね。

松浦:またそこで人の流動性が出てきたときには、価格がこなれてくることは十分考えられます。

野村:いいモデルが海外に流れちゃう恐れがあります。

松浦:円安ですね、特に。

野村:バブル期以降の2000年くらいまでに、いいモデルが日本に入ってきてたんですが、徐々に海外に流れて行ってるのが現状ですね。

松浦:いま日本にはいいアンティークが沢山あるんです。日本人の気質として、時計を乱暴に扱わなかったりとかするので、いいものがそのまま残ってたりというのがありますから。外国人はそれをよく知っているので、日本のものだったらUSED IN JAPANといって、信頼性が高く、向こうで高く売れるということです。

野村:香港なんかでは、日本の販売店の保証書を一緒に売ってたりとか(笑)

松浦:いま海外のものを日本に持ってくるとなると、円高になってもらわないといけないですけど、円高になったらなったで、日本も大変ですからね。

野村:でも、少し戻してくれないと買い付けに欧米へ行けないです。でも、現状はウチには有利なのかな、と思っています。買取り、買い戻しの設定が高めなので。その部分で、ウチに来てみようかな、という人が増えてますし。アンティークウォッチの場合、基本、売値の設定の7掛けで、そこからメンテナンス代を引かせてもらうんですが、ウチは売ったものも8掛けなんです。他所よりも買取りの設定が高いので、結構持ち込んでくれるのです。

松浦:しかも、そういった人たちはコレクターだったりするので、扱いが丁寧で、ものも確かです。外国から変にいじられたものを買うよりも有利だったりしますから。お客さんにとっては、安心感を持ってもらえるのかなと思いますね。クオリティの部分では、外国人より、日本人同士の方が安心感があります。

野村:外国人は、明らかにリダンでもフルオリジナルって堂々と言ってきますからね。日本人の言うオリジナルと別の言葉なんだな、と聞き流してますけど。オリジナルっていうのは作り物とかそういう意味なのかな、とか(笑)

松浦:その人独自のオリジナルという。

 

 

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